登記情報提供サービスの使い方。取得できる情報と登記事項証明書との違い
登記情報提供サービスの利用方法を解説。無料で使えるのかという疑問への答えと種類別の利用料金、登録利用と一時利用の違い、登記事項証明書のように証明書として使えない理由、そして取得したPDFを実務で使えるデータにする手順まで整理します。
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登記情報提供サービスは、法務局の窓口に行かずに登記情報を画面で確認できる仕組みです。ただし「登記事項証明書(登記簿謄本)と同じもの」ではありません。証明書としては使えないという一点を知らずに取得してしまうと、提出先で差し戻されます。
この記事では、取得できる情報の種類と使い分け、そして取得したPDFを実務で使えるデータにするまでを整理します。
登記情報提供サービスとは
登記情報提供サービスは、一般財団法人民事法務協会が運営するオンラインサービスです。インターネット経由で、登記所(法務局)が保有する登記情報をPDFで閲覧・保存できます。
窓口や郵送を挟まないため、その場で内容を確認できるのが最大の利点です。物件調査・用地調査・与信審査など、「まず中身を見たい」場面に向いています。
登記事項証明書(登記簿謄本)との違い
ここが最も重要な違いです。
| 登記情報提供サービス | 登記事項証明書 | |
|---|---|---|
| 取得方法 | オンラインのみ | 窓口・郵送・オンライン請求 |
| 形式 | PDF(画面表示・保存) | 紙(登記官の認証付き) |
| 証明力 | なし | あり |
| 受け取りまで | 即時 | 窓口即時/郵送は数日 |
| 手数料 | 証明書より安い | 証明書のほうが高い |
登記情報提供サービスのPDFには、登記官の認証がありません。 したがって次のような場面では使えません。
- 法務局への申請書類に添付する
- 裁判所・行政庁に提出する
- 金融機関が正式な担保確認の証跡として求める場合
逆に、自分たちで内容を確認・調査する目的なら十分です。実務では「調査は登記情報提供サービス、提出は登記事項証明書」と使い分けるのが一般的です。
登記事項証明書をオンラインで請求する手順は登記簿謄本をオンラインで取得してデータ化する方法で扱っています。
取得できる情報の種類
大きく4種類あります。手数料は種類ごとに異なります。
全部事項 表題部・権利部(甲区・乙区)をすべて含む情報です。所有者・地目・地積・抵当権まで一通り確認したい場合はこれになります。
所有者事項 所有者の氏名・住所だけを取得します。全部事項より安く、所有者だけ確認したい大量調査に向いています。用地買収の初期調査などで使われます。
地図(公図) 土地の位置関係と地番の配置を示す図面です。公図と14条地図の違いは公図と地積測量図の違いで整理しています。
図面(地積測量図・建物図面) 地積測量図は座標・辺長・求積表を含む図面です。すべての土地に存在するわけではありません(地積測量図の取得方法)。
無料で使えるのか
結論から言うと、閲覧そのものは有料です。
- 利用登録そのものに費用はかかりません
- 閲覧するたびに、情報の種類ごとの利用料金がかかります
- 月額の基本料金という形ではなく、都度課金です
つまり「登録だけしておく」ことはできますが、中身を見る操作には必ず料金が発生します。無料で登記情報を閲覧できる公的な仕組みは、現在のところ用意されていません。
利用料金(2026年4月1日改定)
| 情報の種類 | 利用料金 |
|---|---|
| 不動産 全部事項 | 330円 |
| 不動産 所有者事項 | 140円 |
| 地図・図面(公図・地積測量図・建物図面) | 360円 |
| 商業・法人 全部事項 | 330円 |
| 登記事項概要ファイル(動産譲渡・債権譲渡) | 140円 |
登記手数料と指定法人手数料を含む金額です。料金は改定されますので、利用前に法務省「登記情報提供サービスの利用料金等一覧」で最新の金額を確認してください(登記情報提供サービス公式サイトでも案内されています)。
所有者事項で足りる調査に全部事項を使わない
全部事項と所有者事項では料金が2倍以上違います。 所有者の氏名・住所を確認するだけの調査で全部事項を取り続けると、件数が増えたときの差が大きくなります。
200筆の所有者調査なら、全部事項で66,000円、所有者事項なら28,000円です。用地買収の初期調査のように「まず所有者だけ洗い出す」段階では、種類を使い分けるだけで費用が半分以下になります。
なお、登記事項証明書(法務局で取得する紙の証明書)の手数料は別体系です。金額は法務省「登記手数料について」を参照してください。
利用の始め方
2つの方法があります。
登録利用 利用者登録を行い、ID を発行して使う方法です。利用料は後日まとめて請求されます。継続的に使うならこちらです。請求がまとまるため、経費処理も1件で済みます。
一時利用 登録せず、クレジットカード決済でその場で使う方法です。年に数回しか使わない場合や、登録手続きを待てない場合に向いています。
どちらでも取得できる情報の内容は同じです。
利用できる時間に制限がある
登記情報提供サービスは24時間使えるわけではありません。平日の日中を中心とした稼働時間が定められており、土日祝日は利用できない時間帯があります。
これは実務上わりに重要で、「金曜の夜に週明けの案件をまとめて調べておく」ということができません。調査のスケジュールを組むときは稼働時間を前提にする必要があります。最新の稼働時間は公式サイトで確認してください。
取得したPDFの実態
ここから先が、実務で時間を取られる部分です。
PDFには2種類ある
取得したPDFは、見た目が同じでも中身が2通りあります。
- テキスト層があるPDF — 文字を選択・コピーできる
- 画像だけのPDF — 文字が画像として入っていて、コピーできない
どちらになるかは、その登記情報が電子化された時期や、図面の元がスキャンかどうかで変わります。特に地積測量図や公図は画像であることが多いです。
判別方法と、コピーできないときの対処は登記情報提供サービスのPDFをExcelに変換する方法で詳しく扱っています。
件数が増えると破綻する
1件2件なら画面を見ながら書き写せます。問題は件数が増えたときです。
- 一覧にならない — PDFは1件ずつ別ファイルなので、横に並べて比較できない
- 検索できない — 画像PDFは地番や所有者名で検索が効かない
- 転記でミスが出る — 地積の桁、旧字体・外字を含む氏名、抵当権の有無
- 抜けに気づけない — 何件調べて何件残っているかが管理できない
用地買収や大規模開発の調査では、対象が数十筆から数百筆になります。この規模になると、取得作業より転記作業のほうが長くかかるという状態になります。
取得したあとの作業を軽くする
PDFのままでは集計も比較もできないので、実務では最終的に表形式にすることになります。
手作業でやる場合の手順と注意点は登記簿謄本をExcelにまとめる方法にまとめてあります。件数が多い場合は、複数のPDFを一括で読み取る方法のほうが現実的です。
tohon は、登記情報提供サービスで取得したPDFをアップロードすると、所有者・地番・地目・地積・抵当権などを項目ごとに抽出してExcelで出力します。地積測量図からは座標を抽出し、測量CADに読み込めるSIMA形式でも出力できます。
よくある質問
Q. 登記情報提供サービスのPDFを法務局への申請に添付できますか
できません。登記官の認証がないため、証明書としての効力がありません。申請に使う場合は登記事項証明書を取得してください。
Q. 所有者だけ知りたい場合も全部事項を取る必要がありますか
いいえ。所有者事項のみを取得できます。手数料も全部事項より安いため、所有者の確認だけが目的なら所有者事項で足ります。
Q. 地積測量図が取得できない土地があります
地積測量図は、分筆登記や地積更正登記などの際に提出された図面が保管されているものです。そうした登記が行われていない土地には存在しません(地積測量図がない場合の対処法)。
Q. 取得したPDFの文字をコピーできません
画像だけのPDFです。文字が画像として記録されているため、そのままでは選択できません。対処は登記情報提供サービスのPDFをExcelに変換する方法を参照してください。
まとめ
- 登記情報提供サービスは調査用。証明書としては使えない
- 取得できるのは全部事項・所有者事項・地図・図面の4種類で、手数料は種類ごとに違う
- 登録費用はかからないが、閲覧のたびに課金される(全部事項330円・所有者事項140円・図面360円)
- 稼働時間に制限があるため、調査のスケジュールはそれを前提に組む
- 取得したPDFは画像であることも多く、件数が増えると転記作業が本体になる
取得までは仕組みが整っていますが、取得したあとをどう処理するかは各自に任されています。そこが実務の時間を食っている部分なので、件数が増えてきたら自動化を検討する価値があります。
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