登記情報提供サービスのPDFをExcelに変換する方法
登記情報提供サービスで取得したPDFをExcelに変換する方法を解説。PDFの種類の見分け方、コピー・書き出し・OCRができないときの対処、手作業での転記をなくして複数物件をまとめて管理する手順を紹介します。
登記情報提供サービス(登記情報システム)で取得したPDFは、そのままでは検索・並べ替え・集計ができません。複数の物件情報を一覧管理するには、結局Excelなどの表形式に変換する作業が必要になります。
登記情報提供サービスとは
登記情報提供サービスとは、法務省が提供するオンラインサービスで、インターネット経由で登記簿謄本(登記事項証明書)や地積測量図などの登記情報を閲覧・取得できます。
従来の法務局窓口での申請と比較した主なメリットは次の通りです。
| 項目 | 法務局窓口 | 登記情報提供サービス |
|---|---|---|
| 取得方法 | 窓口に出向いて申請 | インターネットでいつでも取得 |
| 取得時間 | 数日〜(事前申請含む) | 即時 |
| 費用 | 数百円/通 | 窓口より安い(閲覧用) |
| 形式 | 紙のみ | PDF(閲覧・印刷用) |
| 認証の有無 | 登記官の認証あり | 認証なし(参照用のみ) |
登記情報提供サービスで取得したPDFは、法的効力のある「原本」ではなく「参照用」です。公的書類として提出が必要な場面では、法務局の認証付き謄本が必要です。ただし、内容確認や台帳整備といった内部作業目的では広く活用されています。
なお、認証付きの謄本をオンラインで請求できる「かんたん証明書請求」もありますが、交付されるのは紙の証明書のみで、PDFのダウンロードはできません。PDFで即座に入手できるのは登記情報提供サービスだけです。
また、登記情報提供サービスで取得した登記情報には照会番号(請求の翌日から100日間有効)が付き、行政機関への申請では登記事項証明書の添付に代えて提出できる場合があります。受け付けるかどうかは提出先の機関によるため事前確認が必要で、登記申請の添付書面としては使えません。
各サービスの手数料は改定されることがあるため、最新の金額は法務省「登記手数料について」でご確認ください。
なぜ登記情報のPDFはそのまま使いにくいのか
登記情報提供サービスで出力されるPDFは、「1件の登記記録を表示するための書式」であり、データとして扱うことを想定していません。
主な課題:
- 複数件のPDFを横断して所有者や地積を比較できない
- テキストをコピー&ペーストしても書式が崩れて整形が必要
- 月に何十件・何百件と処理する業務では手入力が追いつかない
- 所有者名の旧字体が含まれる場合、コピーペーストでも文字化けすることがある
手元のPDFがどの種類か見分ける
同じ「登記簿のPDF」でも、中身の作られ方は3種類あります。どれに当たるかで、できる操作と必要なツールが変わります。まずここを見分けておくと、遠回りせずに済みます。
| 種類 | 中身 | テキスト選択 | 主な入手経路 |
|---|---|---|---|
| テキストPDF | 文字データが埋め込まれている | できる | 一部の電子登記サービス |
| 閲覧専用PDF | 文字データはあるが操作を制限 | できない(制限) | 登記・供託オンライン申請システム |
| 画像PDF(スキャンPDF) | ページ全体が1枚の画像 | できない(文字が無い) | 法務局窓口で取得した紙をスキャン |
見分け方
1. テキストを選択できるか試す
PDFビューアで本文をドラッグしてみます。文字が反転して選択できればテキストPDFか閲覧専用PDF、まったく選択できずページ全体が1枚の絵として扱われるなら画像PDFです。
2. 文字検索(Ctrl+F)を使う
書類に確実に含まれる語(「表題部」など)で検索してヒットすれば、文字データは存在します。ヒットしなければ画像PDFです。
3. 拡大してみる
大きく拡大したときに文字の輪郭がギザギザに崩れるなら画像、鮮明なままならテキストです。
4. 文書のプロパティを確認する
Acrobat Reader ならメニューの「ファイル」→「プロパティ」で、セキュリティ設定として「内容のコピー:許可しない」などの制限が表示されます。ここに制限が出ていれば閲覧専用PDFです。
コピー・書き出し・OCRができないときの対処
登記情報のPDFで実務上つまずきやすいのが、この3パターンです。
コピー&ペーストができない
登記・供託オンライン申請システムからダウンロードしたPDFは閲覧専用で、文書のセキュリティ設定によりテキストの抽出が禁止されています。文字データ自体は入っていますが、コピーは通りません。
この制限は「文字を取り出す手段がない」という意味ではありません。AI OCRはページを画像として読み取るため、コピー制限があるPDFでもデータ化できます。制限を解除する必要はありません。
Excel・テキストへの書き出しができない
同じ理由で、PDFビューアの「テキストとして書き出し」「Excelに変換」といったエクスポート機能も、閲覧専用PDFでは実行できないか、実行しても空になります。画像PDFの場合は、そもそも書き出せる文字データが存在しません。
いずれの場合も、OCR処理を挟むのが正攻法です。
OCRしても文字が読めない・精度が出ない
OCRを通したのに結果がおかしい場合、原因はスキャン品質か、ツールが登記書式に対応していないかのどちらかです。
| 症状 | 主な原因 | 対処 |
|---|---|---|
| 全体的に文字化けする | 解像度不足(200dpi未満) | 300dpi以上で取り直す |
| 一部の文字だけ誤読する | 旧字体・外字 | 登記書類用の外字辞書を持つツールを使う |
| 文字は読めるが表が崩れる | 汎用OCRが登記の構造を理解していない | 登記特化ツールで項目ごとに抽出する |
| 縦書きの注記が読めない | 縦横混在レイアウト | 縦書き対応のツールを使う |
スキャン設定の詳細は書類スキャンの品質がOCR精度に与える影響、旧字体については外字・旧字体のOCR認識を参照してください。
なお、登記情報提供サービスのPDFはもともと文字データを持っている分、紙をスキャンした画像PDFより認識精度が安定します。取得元を選べる場合は、電子データのほうが有利です。
Excel変換の3つの選択肢
1. 手作業でExcelに入力する: 確実だが件数が増えると非現実的。1件あたり5〜15分として、月100件では8〜25時間が転記作業に消える。
2. PDFのテキストをコピー&ペーストする: 表構造が崩れて再整形が必要になりがち。旧字体の文字化けも発生する場合がある。整形後の確認作業も別途必要。
3. 専用の自動抽出ツールでExcel変換する: PDFをアップロードするだけで項目ごとに整形されたExcelが得られる。月100件以上を処理する業務で最もコストパフォーマンスが高い。
自動抽出ツールでできること
tohonでは、登記情報提供サービスで取得したPDFをアップロードするだけで、以下の項目を自動的に抽出し、Excel形式でダウンロードできます。
表題部(土地)から抽出:
- 所在・地番・地目・地積
表題部(建物)から抽出:
- 所在・家屋番号・種類・構造・床面積
権利部(甲区)から抽出:
- 所有者の氏名・住所・持分・登記原因・登記年月日
権利部(乙区)から抽出:
- 抵当権の有無(有/無/無(抹消済))・権利者その他の事項の記載内容
債権額・極度額を個別の列に分解する処理は行っていないため、金額の精査が必要な場合は原本を確認してください。
抽出結果は元のPDFと並べて表示されるため、誤読がないか目視で素早く確認できます。
複数件の一括処理
複数件の登記情報をまとめて処理したい場合も、1件ずつアップロードして進捗を管理できます。
処理が完了した案件からExcelをダウンロードし、物件管理台帳の雛形に貼り付けることで、台帳整備の作業を大幅に効率化できます。
処理時間の目安:
| 処理量 | 手入力の時間 | AI抽出の時間(確認込み) |
|---|---|---|
| 10件 | 約1〜2時間 | 約10〜20分 |
| 50件 | 約6〜12時間 | 約1〜2時間 |
| 100件 | 約12〜25時間 | 約2〜4時間 |
登記情報提供サービスPDF vs 法務局謄本の精度の違い
登記情報提供サービスで取得したPDFは、法務局窓口で取得してスキャンした謄本と比較してOCR精度が安定しやすい特徴があります。
安定しやすい理由:
- 電子データのため印刷・スキャンによる劣化がない
- フォント・レイアウトが統一されている
- 解像度・コントラストが均一
可能な場合は、法務局窓口の謄本をスキャンするよりも登記情報提供サービスのPDFを使うと、処理精度が安定します。
Excelに出力したデータの活用方法
登記情報のPDFを一覧化・構造化すると、PDFのままでは難しかった作業ができるようになります。
地目での絞り込み
農地(田・畑)と宅地・山林を地目列でフィルタリング。用地取得の際に農地転用が必要な物件を素早く特定できます。
所有者での名寄せ
複数件をまとめて処理した場合、VLOOKUP・UNIQUE関数などで同じ所有者が複数物件を持つケースを名寄せできます。用地調査・地権者リストの作成にそのまま使えます。
抵当権のスクリーニング
抵当権列で「有」の物件を抽出し、売却可否の初期スクリーニングや、決済前に抹消手続きが必要な物件の把握に使えます。
キーワード検索
Excel・CSVであれば、所有者名・地番・地目などでCtrl+Fで即座に検索できます。PDFでは困難だった地名・人名の検索が容易になります。
差分確認
前回取得したデータと今回のデータをVLOOKUP・比較関数で突合すれば、所有者変更・地積変更・抵当権の追加などを素早く検出できます。登記情報提供サービスの照会番号は取得の翌日から100日間有効なので、その周期で登記情報を取り直して差分を見る運用にすると、権利変動の見落としを防げます。
外部システムへのインポート
CSV・Excel形式で出力された構造化データは、GISソフト(QGIS・ArcGISなど)・不動産管理システム・会計ソフト・Googleスプレッドシートへのインポートに直接使えます。
統計・分析
地目別・面積帯別・エリア別の集計が即座に行えます。物件管理台帳の整備や用地取得の分析に活用できるほか、過去に取得したPDFをまとめて変換すれば検索可能なデジタルアーカイブとしても使えます。
📊 実際の出力サンプル(登記簿謄本 → Excel)

📥 このサンプルExcelをダウンロード(架空データ・.xlsx)
まとめ
登記情報のPDFをExcelに変換する作業は、件数が増えるほど手作業では追いつかなくなります。日常的に複数件を扱う業務であれば、専用ツールの導入で作業時間を大きく削減できます。
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