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地積測量図とは? 見方の基本と座標データの活用方法を解説

地積測量図とは何か、記載されている求積表・座標値・縮尺・境界点の見方をわかりやすく解説します。作成年代による精度の違い、取得方法、業務での活用とデジタルデータ化の手順まで整理しました。

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測量・不動産・建設業務に関わる中で「地積測量図」という書類を目にする機会は多くあります。測量士・土地家屋調査士・不動産業者・建設会社の担当者など、業務で扱う方向けに、基本的な構成と実務での活用方法を整理します。

地積測量図とは

地積測量図とは、土地の面積(地積)や形状、境界点の位置を測量によって明らかにし、法務局に登録するための図面です。土地の分筆登記や地積更正登記などを行う際に土地家屋調査士が作成し、登記記録の一部として法務局に保管されます。

不動産登記法により、一定の要件を満たした形式で作成することが定められており、必ず記載しなければならない項目があります。

地積測量図に記載されている主な情報

記載項目 内容
土地の所在・地番 対象となる土地の登記上の場所と番号
地目 土地の用途区分(宅地・田・畑・山林など)
地積(面積) 求積によって計算された土地の面積
求積表 境界点の座標と辺長から面積を算出した計算表
座標値(境界点座標) 各境界点のX座標・Y座標(国家座標系)
辺長 境界点同士を結ぶ線分の長さ
方向角 各辺の方位を示す角度
基準点・引照点 測量の出発点となった既知点の情報
縮尺 図面上の長さと実距離の比率
作成日・作成者 測量を行った土地家屋調査士の記名と作成年月日

座標値の読み方

求積表には、各境界点の点番とX・Y座標が並んでいます。日本の平面直角座標系では、X座標が南北方向(北が正)、Y座標が東西方向(東が正)を示します。

座標値の記載例:

  • 点1: X = 35,927.432 / Y = -23,814.561
  • 点2: X = 35,921.108 / Y = -23,801.275

このX・Y座標をもとに、隣り合う点同士の辺長を計算し(ピタゴラスの定理)、さらに全体の面積(地積)をガウスの公式で算出しているのが求積表の仕組みです。座標値が1桁でも変わると、計算される辺長・面積も変わるため、正確な読み取りが重要になります。

境界点・境界標・引照点の違い

座標表に並んでいる点は、すべてが同じ役割ではありません。

境界点(きょうかいてん):土地の筆界(ひっかい)を示す点です。隣接する土地との境目となる角の位置を座標値で記録したものです。筆界は所有者が決めることはできず、変更するには分筆・合筆などの登記が必要になります。

境界標(きょうかいひょう):境界点の現地での目印となる標識(杭)です。

種類 素材 特徴
コンクリート杭 コンクリート 耐久性が高い。道路際・市街地に多い
金属鋲(びょう) 金属 舗装面に埋め込まれる
木杭 木材 仮の境界標として使われることがある
プラスチック杭 プラスチック 比較的安価で設置しやすい

引照点(いんしょうてん):境界点の位置を将来復元するための補助点です。境界点そのものではなく、ブロック塀・擁壁の角、道路境界石、マンホールの中心、金属鋲など、永続性のある目標物が使われます。地積測量図には引照点の位置と、境界点との距離関係が記載されることがあります。引照点が残っていれば、境界標が物理的に失われても位置を復元できます。

座標表での区別

点番号 属性 X座標 Y座標
1 境界点(求積点) 35927.432 -12345.678
2 境界点(求積点) 35934.891 -12338.451
T1 引照点 35929.001 -12350.123

点番号のアルファベット(T1・R1など)は引照点であることが多いです。求積点は面積計算に使う境界点、引照点は復元のための補助点で面積計算には含みません。SIMAファイルでは、各点の属性がデータとして記録されています。

現地で境界点を確認する手順

  1. 地積測量図の座標系(世界測地系・系番号)を確認
  2. 使用する測量機器(トータルステーション・RTK-GNSS等)に座標をセット
  3. 最寄りの基準点または引照点を後視(バックサイト)する
  4. 各境界点の計算位置に機器を向けて現地を確認

境界標が見つからない場合は、引照点から距離・方向を測定して境界点を特定するか、座標から位置を復元する「境界復元測量」を行います。この場合は土地家屋調査士に依頼するのが一般的です。

縮尺の読み方

地積測量図には必ず縮尺が記載されています。縮尺は、実際の距離を図面上でどのくらいの割合で縮小して表現しているかを示す比率です。表題欄、図面内のスケールバー(縮尺バー)、図面右下または左下の注記欄に記載されています。

縮尺 図面1cmあたりの実距離 主な用途
1/100 1m 建物平面図・詳細図
1/250 2.5m 地積測量図(市街地の小さな土地)
1/500 5m 地積測量図(標準)・現況測量図
1/1000 10m 現況測量図(広い土地)・路線測量
1/2500 25m 地形図

図面上の長さから実距離を計算する

実際の距離(m)= 図面上の長さ(mm)× 縮尺の分母 ÷ 1000

縮尺 1/500 の場合、図面上10mm(1cm)が実際の5.0m、25mmが12.5m、40mmが20.0mになります。縮尺 1/250 なら、10mmが2.5m、20mmが5.0m、40mmが10.0mです。

図面上の面積から実際の面積を計算する

面積の場合は縮尺の分母の2乗を掛けます。

実際の面積(㎡)= 図面上の面積(mm²)× 縮尺の分母² ÷ 1,000,000

縮尺 1/500 で図面上の長方形が30mm × 20mm の場合、図面上の面積は600mm²、実際の面積は 600 × 250,000 ÷ 1,000,000 = 150㎡ となります。

ただし、縮尺を使った面積の推定は参考程度にとどめてください。座標値が記載されている図面では、座標求積(ガウスの公式)で計算した値のほうが正確です。座標求積は縮尺や作図誤差の影響を受けず、地積測量図の求積表に記載されているのがこの計算結果です。正式な面積は必ず求積表の値を参照します。

作成年代による精度の違い

地積測量図は、作成された時代によって記載内容と精度が大きく異なります。これは、測量技術の進歩と、不動産登記法の改正によるものです。

作成年代 主な特徴
昭和35年より前 制度自体がないため地積測量図は存在しない
昭和35〜52年 制度創設後の初期の図面。座標値の記載がなく、形状と面積のみのものが多い
昭和52〜平成元年 境界標の表示が義務化され精度が向上。座標値ありだが任意座標系の場合も多い
平成元〜17年 公共座標(世界測地系)の座標が増加
平成17年以降 原則として世界測地系の座標で記載

節目となるのは次の2つの年です。

  • 昭和35年(1960年):不動産登記法の改正で表示に関する登記制度が創設され、地積測量図の添付が義務付けられました。これ以前の地積測量図は制度として存在しません。
  • 昭和52年(1977年)10月1日:施行細則の改正で境界標の表示が義務化され、精度が意識されるようになりました。ここより前の図面は精度に問題があるケースが少なくありません。

古い図面では座標値が記載されていない・精度が低い・任意座標系を使っているケースがあるため、現況測量や確定測量で再利用する際は注意が必要です。

新旧の図面で境界点を照合するときの注意

同じ土地について古い地積測量図と新しい図面がある場合、境界点の座標を比較することで整合性を確認できます。ただし次の点に注意してください。

  • 旧日本測地系と世界測地系では座標値が異なる(2002年が境目)
  • 任意座標系と公共座標系では直接比較できない

地積測量図の取得方法

地積測量図は、次の方法で取得できます。

  • 全国の法務局・登記所の窓口で申請
  • 登記情報提供サービス(オンライン)で取得(閲覧用PDFとして)
  • 費用:1通あたり数百円程度(手数料一覧はこちら

地積測量図が存在しない土地もあります。地積測量図は分筆登記・地積更正登記などの際に作成されるため、これらの登記が一度も行われていない土地には存在しません。また、制度が創設された昭和35年より前に登記されたまま動きのない土地にも図面はありません。

座標データの活用方法

測量業務での活用

  • 隣接地の過去図面から境界座標を取り込んで現地と照合
  • 確定測量・現況測量の基準データとして使用
  • 分筆・合筆案件で既存座標を再利用

建設・土木業務での活用

  • 工事用地の境界確認
  • 起工測量・竣工測量の基準点として使用
  • 用地取得で対象地の座標を一覧管理

不動産業務での活用

  • 物件の境界・面積の確認資料
  • 重要事項説明の添付資料
  • 売買代金の根拠となる地積の確認

座標データをCADに取り込む方法

紙やPDFの地積測量図から座標値を測量CADに取り込む方法には、主に2つあります。

手入力:座標表の数値を1点ずつキーボードで入力します。点数が多い図面では数十分かかり、桁の読み間違いによるミスも発生しやすいです。

AI OCRで自動抽出:地積測量図のPDFをAI OCRツールにアップロードすると、座標表を自動認識して座標値を抽出します。抽出したデータをSIMA形式(.sim)でダウンロードし、測量CADに直接読み込むことができます。スキャンPDFでも対応しており、処理時間は1図面あたり30秒〜3分程度です。境界点・引照点の属性も含めて抽出されるため、複数の図面の座標を一括でExcel化して管理・検索する用途にも使えます。用地取得・土地管理で多数の筆を扱う場合に特に効率化できます。

まとめ

  • 地積測量図は土地の面積・形状・境界を証明する図面で、分筆・地積更正の際に作成される
  • 求積表の座標値から辺長と面積が算出されており、1桁の誤りが面積のずれに直結する
  • 境界点(求積点)・境界標・引照点は役割が異なり、引照点は境界標が失われたときの復元に使う
  • 縮尺からの面積計算は参考値。正式な面積は座標求積表の値を参照する
  • 昭和35年より前の図面は存在せず、昭和52年より前は精度に注意が必要
  • 座標のCAD取り込みは、手入力よりAI OCRによる自動抽出が時間・精度の両面で効率的

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