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司法書士の業務効率化。登記簿の確認・転記をAI OCRで自動化する方法

司法書士事務所の業務効率化を、登記調査の自動化から解説。登記簿謄本のAI OCR抽出、相続登記義務化への対応、旧字体の扱い、補助者との分担、導入手順までを実務目線でまとめました。

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司法書士事務所の業務効率化は、登記調査・書類作成・依頼者対応の3つの工程に分けて考えると整理しやすくなります。このうち登記調査(登記事項証明書の内容確認・転記)は、AI OCRツールで自動化できる部分が最も大きい工程です。この記事では、どの作業がどれだけ削減できるのか、導入時に何に注意すべきかを、実務の流れに沿って解説します。

司法書士業務で登記簿の確認が発生する場面

まず、どの業務で登記簿の読み取りが発生しているかを整理します。

所有権移転登記の事前確認

売買・贈与・財産分与による所有権移転登記の前に、現在の登記名義人・住所・抵当権の有無を確認します。複数筆にまたがる案件では登記簿も複数枚になり、確認量がそのまま増えます。

相続登記の調査

被相続人が所有していた不動産を洗い出す作業が発生します。複数の市区町村にまたがる場合、多数の登記事項証明書を取得・確認することになります。相続人への説明資料の作成も必要です。

抵当権の設定・抹消

金融機関の融資に伴う担保不動産の確認、返済完了時の抵当権抹消では、権利部(乙区)の内容を正確に把握する必要があります。

複数物件の権利関係の一覧管理

相続や企業の資産整理など、多数の不動産を一括して扱う案件では、各物件の権利関係を一覧化して比較・管理する必要があります。

登記調査の現状と課題

1件あたりの工数

登記事項証明書1件の内容確認・転記には平均5〜15分かかります。1日10件の案件を扱う事務所では、登記確認だけで1〜2時間の工数が発生します。

多筆案件でのボトルネック

相続・用地取得・競売物件などで複数筆の土地が対象になる場合、筆数に比例して工数が増加します。20筆の相続案件では登記確認だけで2〜4時間かかることもあります。

転記ミスのリスク

地番・住所・旧字体を含む氏名の手入力は誤入力が発生しやすく、申請書の訂正・再作成が必要になるケースもあります。単に時間がかかるだけでなく、やり直しのリスクを抱えた作業だという点が重要です。

2024年の相続登記義務化で変わったこと

2024年4月から相続登記が義務化されました。相談件数が増える一方で、1案件あたりの処理工数も増大しています。

  • 被相続人名義の全不動産が対象になるため、複数筆の処理が常態化する
  • 長期放置されていた物件の掘り起こしが増え、権利関係が複雑な案件が多い
  • 一括処理できれば、20筆の案件でも1時間以内に一覧化できる
  • 一覧表をそのまま依頼者への説明資料として使えるため、面談の効率も上がる

同じスタッフ数でより多くの案件を処理するキャパシティを確保するうえで、登記確認の自動化は効果が出やすい領域です。

AI OCRで自動抽出できる情報

登記事項証明書から、以下の項目を自動で切り分けて抽出できます。

区分 抽出項目
表題部(土地) 所在・地番・地目・地積
表題部(建物) 所在・家屋番号・種類・構造・床面積(各階)
権利部(甲区) 所有者氏名・住所・持分・登記原因及びその日付
権利部(乙区) 抵当権・根抵当権の設定/抹消、権利者、抵当権の有無の判定

抵当権については「有 / 無 / 無(抹消済)」を自動判定して出力するため、乙区を1ページずつ目視する作業を省けます。

自動化できる工程と、人が残る工程

工程 自動化の内容 人が行うこと
登記事項の読み取り PDFをアップロードするだけで項目ごとに自動抽出 抽出結果の確認
一覧表の作成 複数筆を1筆1行でExcelに自動整形 案件に応じた列の取捨選択
転記 抽出データをコピーして申請書に貼り付け 申請書としての最終確認
抵当権の有無確認 自動判定 権利関係の法的な解釈・判断

重要なのは、AI OCRは「確認をなくす」ためではなく「確認に必要な時間を短くする」ためのツールだという点です。全項目を入力する作業が、重要箇所を確認する作業に変わります。

手入力との時間比較

処理量 手入力の月間時間 AI抽出+確認の月間時間
月50件(比較的簡単な案件中心) 約25〜50時間 約5〜10時間
月100件(複数筆・複雑な案件を含む) 約80〜150時間 約15〜30時間

月50時間以上の転記作業が発生している事務所では、削減効果がはっきり出ます。逆に月数件程度であれば、導入の手間に見合わない可能性もあります。

実務での運用イメージ

1日の業務フローへの組み込み方は、おおむね次のようになります。

取得した登記簿PDF(10〜20件)をまとめてアップロード
  ↓
処理中は別の業務を進める(30秒〜2分/件)
  ↓
Excelをダウンロードして台帳・申請書類の作成に活用
  ↓
旧字体・重要項目を元PDFと照合(目視確認)

確認に優先順位をつける

全項目を等しく目視確認するのではなく、誤読リスクの高い箇所に集中すると効率が上がります。

  • 所有者氏名・住所 … 旧字体が含まれる可能性があるため、元PDFと照合
  • 地積の数値 … 桁数が多く、小数点の位置がずれると影響が大きいため確認
  • 抵当権の有無・権利者 … 権利関係に直結するため必ず確認
  • 所在・地番 … 比較的安定しているため抜き打ち確認

導入の進め方

DXは一気に全業務を変えようとすると負担が大きく、定着しません。次の順番で進めると効果が見えやすくなります。

  1. 登記簿謄本の確認・転記作業から始める(最も反復性が高く、効果が測りやすい)
  2. 相続登記の書類管理・財産目録の作成に拡大
  3. 案件管理ツールとの連携を検討(Excel・CSV出力を経由)

クラウド型ツールを選ぶ利点

インストール不要:ブラウザからアクセスするだけで使えます。事務所内の複数のPCや、在宅・外出先からも同一アカウントで利用できます。

複数スタッフでの共有:アップロードしたデータはアカウント内で管理されるため、所長・補助者が同じデータを確認できます。

認識精度が自動で改善される:インストール型と異なり、ツール側でAIモデルが更新されるため、常に最新の精度を使えます。

補助者との分担

登記確認業務を補助者に任せる場合、AI OCRを組み合わせることで作業時間を短縮できます。抽出結果を元PDFと並べて照合する工程が残るため、補助者が担当しても品質を保ちながら処理を進められます。「入力してもらう」から「確認してもらう」に役割が変わるイメージです。

司法書士業務特有の注意点

旧字体・外字への対応

相続案件では、被相続人の氏名に旧字体が含まれることが多くあります(「髙(はしごたか)」「﨑(たつさき)」「辻(二点しんにゅう)」など)。汎用OCRでは通常の漢字に誤変換されがちなため、登記書類向けの外字辞書を持つツールを選ぶか、氏名については必ず元PDFとの照合を運用ルールに組み込んでください。

法的効力のある書類としての慎重さ

申請書類の内容は法的効力を持ちます。AI抽出結果は下書きとして扱い、最終的には必ず専門家が原本と照合する運用にしてください。この前提を所内で共有しておくことが、トラブル防止につながります。

スキャン品質の影響

スキャンした登記簿は、印字がかすれていたり傾いていたりすると誤読の原因になります。取得元が電子データ(登記情報提供サービスのPDF等)であれば、そのまま処理した方が精度が安定します。

セキュリティ

登記事項証明書には個人情報(氏名・住所)が含まれます。クラウドツールを選ぶ際は以下を確認してください。

  • 通信の暗号化(SSL/TLS)
  • データの保存期間と削除ポリシー
  • 第三者へのデータ提供の有無

tohonはアップロードされたPDFを抽出処理後に削除し、第三者へのデータ提供は行いません。

導入でよくある懸念

「認識精度が心配」

AI OCRは100%の精度ではありません。重要なのは精度そのものより、元PDFと並べて素早く確認・修正できる仕組みがあるかどうかです。見落としにくい確認体制とセットで導入してください。

「システム導入のコストが高い」

クラウド型であれば初期費用がかからず、月額制で利用量に応じたプランから始められます。まず無料プランで自分の案件のPDFを試し、精度を確認してから判断するのが確実です。

「旧字体の人名が正しく読み取れるか心配」

登記書類向けの外字辞書を持つツールであれば、「髙」「﨑」「辻」などの旧字体にも対応できます。それでも氏名は照合対象に含める運用を推奨します。

よくある質問

Q: 申請書の作成に抽出データを流用できますか?

A: 所在・地番・地目・地積・所有者名・住所などを申請書の対応欄にコピー&ペーストできます。ただし申請前に必ず元の登記事項証明書との照合を行ってください。

Q: 建物の登記事項証明書も処理できますか?

A: 土地・建物いずれにも対応しています。建物の場合は所在・家屋番号・種類・構造・床面積(各階)を抽出します。区分建物(マンション)は対応準備中です。

Q: 法人名義の登記簿も処理できますか?

A: 所有者が法人の場合も、法人名・住所を自動抽出します。法人名に外字が含まれる場合は確認画面での目視確認を推奨します。

Q: 一度に何件の登記簿を処理できますか?

A: 複数のPDFを一括アップロードして処理できます。大量の相続登記案件を処理する際に特に効果的です。

Q: 抽出したデータを案件管理システムに連携できますか?

A: Excel・CSV形式でダウンロードできるため、多くの案件管理システムにインポートして活用できます。

Q: 複数の司法書士が同じアカウントを使えますか?

A: 複数名での利用を想定している場合は、組織機能のあるプランをご検討ください。オーナーのプラン・利用量枠をメンバーで共有できます。

Q: 処理済みのデータはどのくらい保存されますか?

A: 保存期間はプランの仕様に従います。長期保存が必要な場合は、Excelでダウンロードして事務所内で保管することを推奨します。

まとめ

司法書士業務の効率化は、反復性が高く効果が測りやすい「登記簿の確認・転記」から着手するのが定石です。AI OCRは精度100%を前提にするのではなく、確認作業とセットで運用することが実務での定着につながります。相続登記義務化で案件が増えている今、同じ人数でどれだけの案件を処理できるかが事務所のキャパシティを左右します。

tohonは登記簿謄本に特化したAI OCRで、旧字体対応・元PDFとの並列確認画面・Excel形式での出力に対応しています。新規登録から累計30ページまで無料で、実際の案件のPDFで精度を確認できます。

司法書士事務所向けの機能は、司法書士向けページで表題部・甲区・乙区の項目分類、所有者・持分・抵当権の抽出をまとめて紹介しています。


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