登記簿謄本をクラウドで処理する安全性。個人情報の取り扱いとセキュリティ対策
登記簿謄本をクラウドOCRツールで処理する際のセキュリティリスクと対策を解説。想定されるリスク、暗号化・データ保存ポリシー・学習データ利用・第三者提供の有無など、ツール選定の確認ポイントをまとめました。
登記簿謄本には所有者の氏名・住所など個人情報が含まれています。クラウドOCRツールにPDFをアップロードする際、そのデータがどのように扱われるかは、業務での導入判断において重要な確認事項です。この記事では、想定されるリスクと、安全なツールを選ぶための確認ポイントを整理します。
登記簿謄本に含まれる情報の種類
| 情報 | 個人情報該当 | 内容 |
|---|---|---|
| 所有者氏名 | ○ | 個人・法人の登記名義人 |
| 所有者住所 | ○ | 登記上の住所 |
| 地番・地目・地積 | △(特定なし) | 土地の属性情報 |
| 登記原因・日付 | △ | 取得原因(売買・相続など) |
個人情報保護法の観点では、氏名・住所の組み合わせは個人情報に該当します。クラウドツールを使う場合、処理委託として扱い、適切な管理が必要です。地積測量図についても、座標データ・境界情報という機密性のある情報を含みます。
想定されるセキュリティリスク
1. アップロードデータの第三者利用
クラウドOCRサービスによっては、アップロードされた書類データを機械学習の学習データとして利用するケースがあります。
確認すべき事項
- プライバシーポリシーに「アップロードデータを学習・分析に使用する」旨の記載がないか
- データが第三者に提供・販売されないことが明記されているか
2. 通信中の盗聴・改ざん
ファイルをアップロードする際の通信が暗号化されていない場合、第三者による傍受のリスクがあります。
確認すべき事項
- サービスがHTTPS(TLS暗号化)通信を使用しているか
- アクセスURLが
https://から始まっているか
3. サーバー上でのデータ保存と漏洩リスク
処理完了後もサーバー上にデータが残り続ける設定のサービスでは、事業者のシステムが侵害された際にデータが漏洩するリスクがあります。
確認すべき事項
- 処理後のデータ保存期間と自動削除ポリシーが明記されているか
- サーバーのデータを暗号化して保存しているか
4. アカウントの不正アクセス
弱いパスワードや使い回しのパスワードを設定していると、アカウントへの不正アクセスにより、処理済みの書類データが第三者に閲覧されるリスクがあります。認証・パスワード管理・二段階認証の有無を確認してください。
クラウドOCRツールの確認ポイント
信頼できるサービスは、利用規約・プライバシーポリシーに以下を明記しています。
| 確認事項 | 安全なサービスの記載例 |
|---|---|
| 学習データ利用 | 「アップロードデータを機械学習に使用しない」 |
| 第三者提供 | 「法令に基づく場合を除き、第三者に提供しない」 |
| データ削除 | 「処理完了後○日以内に自動削除」 |
| 暗号化 | 「転送時・保存時ともにAES-256で暗号化」 |
国内サーバー・国内法準拠かを確認する
サービス提供事業者が日本法人であるか、またはデータが日本国内のサーバーで処理・保存されているかを確認します。海外事業者の場合は、日本の個人情報保護法への準拠状況を確認します。
ISO 27001などセキュリティ認証の有無
情報セキュリティ管理のISO 27001認証を取得しているサービスは、組織的なセキュリティ管理体制が評価されていることの目安になります。
フリープランの注意点
無料ツールの中には、広告収入の代わりにユーザーデータを利用するビジネスモデルのサービスがあります。業務書類の処理には、データの取り扱いが明確な有料プランまたは専門業務向けサービスを選択することを推奨します。
なお tohon では、アップロードされたPDFを処理完了後に削除し、アップロードデータを機械学習に使用しません。抽出されたデータの保存期間については利用規約・プライバシーポリシーをご確認ください。
士業事務所での導入時の確認事項
司法書士・土地家屋調査士・行政書士などの士業事務所が外部のクラウドツールを業務利用する場合、クライアントから預かった書類を第三者のシステムで処理することになります。
- 業務委託契約・守秘義務の範囲でクラウドツールの利用が問題ないか確認する
- 利用するサービスのデータ取り扱いポリシーを事前に確認する
- 必要に応じてクライアントへの説明・同意取得を検討する
企業での情報セキュリティポリシーとの整合
クラウドサービスを業務利用する際、自社の情報セキュリティポリシーとの整合確認が必要です。
- クラウドサービスの利用承認プロセス
- 個人情報を含む書類のクラウドアップロードに関するルール
- ベンダーとの守秘義務・処理委託契約の締結
多くの企業では情報システム部門・コンプライアンス部門への確認が必要です。無料トライアルを使う前に確認しておくことで、本格導入の判断がスムーズになります。
インストール型ツールとの比較
| 観点 | クラウド型 | インストール型 |
|---|---|---|
| データの保存場所 | ベンダーのサーバー | 自社のPCまたはサーバー |
| ネットワーク接続 | 必要 | 不要(オフライン可) |
| セキュリティ管理 | ベンダーが担当 | 自社が担当 |
| 導入・更新コスト | 低い(ブラウザだけ) | 高い(インストール・更新) |
機密性が特に高い案件や、ネットワーク接続が制限された環境ではインストール型が適している場合があります。一般的な業務では、適切なセキュリティ対策を持つクラウド型の方が導入・運用コストが低い選択肢です。
確認事項のチェックリスト
- プライバシーポリシー・利用規約でデータ利用方針を確認する
- HTTPS通信・暗号化保存に対応しているかを確認する
- 処理後のデータ削除ポリシーが明記されているサービスを選ぶ
- 学習データへの非使用が明記されているか確認する
- 日本法準拠または国内事業者を優先する
よくある質問
Q: 登記情報提供サービスで取得した電子PDFをアップロードしても問題ありませんか?
A: 登記情報提供サービスの利用規約において、取得した情報の利用目的には業務利用が含まれます。クラウドツールへのアップロードについては、ツール側のデータ取り扱い方針(処理委託)と合わせてご確認ください。
Q: 法人のお客様の書類を処理する場合、守秘義務は問題ありませんか?
A: 士業事務所・コンサルタントがクライアントの書類を処理する場合、守秘義務の範囲での委託処理として扱います。クラウドツールを処理委託先として位置付け、データ取り扱い方針を確認した上で利用してください。
Q: データ漏洩が発生した場合の責任はどうなりますか?
A: ツールのプライバシーポリシー・利用規約に従います。重要な書類を扱う場合は、ベンダーとの間で個人情報処理委託契約を締結することを検討してください。
まとめ
- 登記簿謄本の氏名・住所は個人情報であり、クラウド処理は「処理委託」として扱う
- リスクは学習データ利用・通信傍受・サーバー上の残存・アカウント侵害の4つ
- 学習非使用・自動削除・暗号化・国内法準拠の4点が明記されたサービスを選ぶ
- 士業は守秘義務、企業は社内セキュリティポリシーとの整合を導入前に確認する
- 機密性が極めて高い案件ではインストール型という選択肢もある
登記簿謄本のクラウドOCR処理を検討している場合は、tohonのプライバシーポリシーおよび利用規約をご確認の上、無料プランでお試しください。
関連記事: 登記OCRツールの比較と選び方 / 司法書士の業務効率化 / 土地家屋調査士の業務効率化
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